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ドラマ「ちょこっと京都に住んでみた」とそれに便乗した京都案内

テレビ大阪スペシャルドラマ「ちょこっと京都に住んでみた。」は、テレビ東京系列で2019年12月29日(日)放映され、TVerで1月12日まで無料視聴可能ですが、淡々としたストーリー展開ながら、どこか懐かしい風景や、興味深い会話があり、登場したお店などを調べながら、それに便乗して、京都案内などを書いておくことにしました。

このドラマは、観光地に行かない京都案内、住んでいる人しか知らない京都をコンセプトに、虚実織り交ぜ、ドキュメンタリー×ドラマの手法で描かれたとのこと。京都で生まれ育ち、長いモラトリアム生活を過ごした私にとって、大変興味深い設定でした。

物語は、東京でデザイナーとして働いていたけれど、仕事を辞めてしまった27歳の女性(木村文乃)が、京都で暮らす大叔父(近藤正臣)を訪ね、自転車で京都の町をめぐりながら、生き馬の目を抜くような東京での暮らしに対するオルタナティブな価値に気付いていくというものであったように思われます。

大叔父(近藤)が、主人公の佳奈(木村)に、買い物を頼んだ店は、「はれ」の店ではなく、地元で生き続ける「け」の店。そこは、ゆったりとした時間が流れる不思議な空間のようでした。

「ハレ」の店は、すでに、有名になり過ぎて、観光客が多くいたり、値段も高く、大都会と同じ時間が流れているように思いますが、北野のウナギの蒲焼店、豆腐屋(油揚げ)、七味唐辛子店…、ドラマでは、「ケのハレ」の店として、紹介されていましたが、自分の生活圏の店を、テレビを通して見ると、改めてその価値に気付かされた感じです。

鎌田川魚店 うなぎ蒲焼・八幡巻
とようけ屋山本 豆腐・お揚げ
長文屋 七味唐辛子




京都は名水が残る水の都。梨木神社の染井の井戸と麩嘉さんの井戸水が出てきていましたが、コーヒーやお茶も、名水を汲みに行くと、格別になるとは聞いても、なかなか実行出来ないですが、その場で口に含むと、夏場の井戸水の冷たさ、冬場の暖かさとも、味わい深いです。麩嘉さんの麩饅頭は、百貨店でもお目にかかる「ハレ」の銘菓でもあります。

梨木神社と言えば、かつて、「闇の土蜘蛛」と名乗る青年による爆破事件が思い出されますが、今や、マンション開発をめぐる問題から、神社本庁を離脱するなど、時代の流れを感じさせられます。

京都は、パンの消費量が多い街としても知られていますが、洋食の名店も、数多いように思います。このドラマで出てきた生研会館は、私自身、何度も前を通っていながら、気づきもしなかった店なのですが、近所の何の変哲もないと思っていた洋食店が、テレビや雑誌、食べログで取り上げられ、行列の出来る店になったりしていますので、世の中、判らないことが多いと気付かされます。

梨木神社 染井の井戸
麩嘉本店 滋野井・麩饅頭
WEEKENDERS COFFEE コーヒー豆
グリル生研会館 洋食店




美味しいは自分の臭覚で探せ!

「美味しい和菓子屋さんも、教えてよ~」と言われても、大叔父さんは教えず、人に聞いたり、ネットで探したりするのではなく、「自分の好きなもんはな、自分でさがさなあかん」と。「スマホなんかに頼らず、自分の嗅覚だけで探したら、ええんや~、あんたには、好きなものを探す自由があるんや」とのこと。

人に聞いたり、ネットで探すと、はずれが少なく、回り道が少ないかもしれないけれど、そこには自由がない。自分で探すと、回り道するかもしれないが、探す楽しさがあり、楽しいものです。

「私は、今、自由だ~」

他人の評価やネットの情報に頼って店を探すことは、世間にとらわれた強迫観念であり、自分が美味しいと思えば、それは、美味しいのであり、わざわざ、世間で美味しいと言われる基準に適応する必要などないのかもしれません。そうこう考えていくと、プロタゴラスの人間尺度論に思いが向かうのですが、ソフィストの思想も、現代においても、一考に値するように思われました。

この日の足取りは、叔父さんのお使いで、金継ぎで直した器の受け取りに骨董屋さんへ。骨董屋での店主とのやり取りは、興味深いものでした。

店主曰く:「自分が一番長くいる店なので、好きなもので囲んでいます」
佳奈(木村):「好きにならないといけないんだと思ってました、仕事って」
店主:「仕事が嫌にならないようには努力して好きでいようとはしてます」

店主:「奈良や古墳時代の欠けたお皿。あえて直していない。直してもいいが、直さなくてもいいと思うので」
佳奈「そっか、このままでいいんだ。傷ついていても、欠けてても」

その次は、古民家の古書店に立ち寄り、あまたの本の中から、柳宗民の「雑草ノオト」に出会う。

「雑草という草はない。それぞれに名前がある」。ドラマとは関係のない言葉ではありますが、ドラマに出てきた柳宗民「雑草ノオト」に、どこか通じる言葉であるように思われます。空き地や路傍でよく見かける雑草は、花壇や畑では厄介者だけれども、その可憐な花には四季の風情を感じさせる愛らしさが漂っている…。どんな草でも、どこかに美しさがあることに気付くことは、観光とは無縁な古都の裏町の風情を感じることと、通じる所があるのでしょう。

この古書店がどこにあるかは、自分の嗅覚だけを頼りに、自転車を走らせていても、おそらくたどり着くことはないかもしれないですが、本当の出会いは、ほんと、自分の嗅覚だけが頼りですし、雑草の可憐さに気付くには、自分の嗅覚が研ぎ澄まされていない限り、不可能なのかもしれません。

そして、鎌餅、一休餅、フルーツサンドなど、嗅覚でさぐり当てる楽しさは、なんだか、うらやましい感じです。実は、ここに出てきた店も、私の生活圏にあって、店の前を歩いた記憶はあるものの、一度も、食べたことはなく、私の和菓子に対する嗅覚は鈍っているようでもあります。

画餅洞 骨董
町家古本はんのき 古書
大黒屋鎌餅本舗 鎌餅
吉廼家 一休餅
カフェビブリオティック ハロー フルーツサンド




大叔父さんに頼まれて行った鯖寿司の店は、祇園や百貨店に店を出す、誰もが知る「ハレ」の店ではなく、「ケ」の「ハレ」の店なのでしょうが、店主が、鯖寿司を作り、竹皮に包む手際よさには、目を奪われました。そして、修学院離宮きわの音羽川を上っていくと、紅葉のきれいな小さな砂防ダムへ。「人生には、三つの坂がある。登り坂、下り坂、マサカがある」。相場の格言でも、よく似たことが言われますが、相場の格言では、マサカは大暴落など、まさかの出来事ですが、坂道を上っていくと、誰も知らないような素晴らしい風景に出会い、そこで、今まで食べたことがなかったような美味なる物に出会うなど、良い意味でのサプライズのマサカとなるなら、自分の嗅覚を信じたくなっていくのかもしれないと思ったりしました。

大叔父さんと、鴨川を眺めながら、河原で、コーヒー豆を引き、コーヒーを飲む場面も印象深いです。

大叔父「ぼーっと鴨川、眺めながら、コーヒーを飲むこと、わしの好きなとこのひとつや。」
佳奈「わたしさ~、仕事辞めちゃったんだ。デザイナーになりたかったんだけど。ぜんぜんだめだし。遅くまで働いて、人と競争して、ご飯なんか、だいたいコンビニだし、好きだった画を描くことも嫌になっちゃった。わたし、人生に失敗しちゃったんだよね。」
大叔父「わしも中途半端や。結婚もしてへんさかいし、子どもおらんし、仕事も3、4回変わったな。あんたの基準からしたら、わしの人生失敗だらけや。けど、わしそんなん思うてへんで。人生ってのはもっとシンプルに生きたらどうや。なんでもやったらええ。やってるうちに色々好きなことが見つかるやろ。好きなことをどんどんどんどん増やしていって、そうして、毎日、生活する。楽しいやろ、。知らんけど。」

骨董屋店主の好きな物に囲まれて仕事にするという考え、欠けた骨董の皿を、直してもいいが、直さなくてもいいという考えから、「このままでいいんだ。傷ついていても、欠けてても」という発見、そして、路傍の雑草、自分の嗅覚で物を探す楽しさなど、私自身も、佳奈と一緒に再発見していった気がしました。「知らんけど」という大叔父さんの口癖は、自分自身の中に価値判断の尺度を持ちながら、物事を主観的に断定しない、謙虚さを体現しているように思われました。

「わたし居場所なくなっちゃったんだ。」という佳奈に、「あんたの居場所はあるやろ~。椅子買うてきたやろ。あれが、あんたの居場所や」という大叔父さん。「起きて半畳、寝て一畳」という言葉は、居場所についての故事ではないですが、居場所なんて、自分が選んできた持ってきた椅子でもなんでも良く、たいしたものである必要なく、居場所は、どこにでも、あると言うことを示唆しているのでしょうか…。

京都では、30年前の創業ではとうてい老舗とは言えないとか、100年、200年では、はな垂れ小僧だと、まことしやかに語られることがありますが、酒屋での「生粋の京都人」をめぐって、「生粋って戦前から住まれてるんですか」「京都で戦前言うたら、応仁の乱ですわ」という会話は、古さを競う京都人の価値観への皮肉だったのでしょうか。

例えば、40年前と言えば、私にとっては、平安神宮や梨木神社、神社本庁などへの連続爆破事件など、遠い昔の出来事でありながら、歴史の一コマと考えるなら、つい最近の出来事のようにも思われ、平安神宮も梨木神社も神社本庁にしても、明治維新で生まれたものであり、それが、どこか歴史の中に溶け込んでいるように思ってしまうのは、不思議な気がしています。

天忠魚熊 鯖寿司
修学院・音羽川
STOCKROOM 椅子
西本酒店 立ち飲み




ドラマの最初、大叔父さんの家が、「土器坂(かわらけざか)町」という所にあるという設定は、架空の場所のようですが、このドラマで出演したお店の人は、みんな本物の人だったそうで、なかなかの味が出ていたように思われました。京町家に、欧州風の赤い車に、白い自転車など、すべてが調和しているように見えましたが、実際の町屋は、夏はそれなりに涼しいものの、冬は寒くて寒くて、過ごしにくいこと、この上なく、紅葉の頃なら、町屋も、自転車での散策も、楽しいだろうと思われました。

怪我をしたと聞いて世話をしにきた佳奈に「なんや、ホンマに来たんか?」と言うのは、「京の茶漬け!?」の洗礼だったのでしょうか?

2日目の朝でしたが、関西古紙回収協同組合の古紙収集車からの「子ヤギのキッドくん」のかわいい声が、流れてきましたが、その細かなこだわりには感激しました。

京の音風景 (関西古紙1) (関西古紙2)

趣味とこだわりの世界に生きている大叔父。ゆったりとした京都の暮らし。個性豊かな店々。フランス語のタイトルや主題歌が挿入され、現代化を斜めから眺める欧州的な価値観が滲み出ているようにも思われました。




テレビ大阪スペシャルドラマ「ちょこっと京都に住んでみた。」

Wikipedia「ちょこっと京都に住んでみた。」

TVer「ちょこっと京都に住んでみた。」(2020年1月12日(日) 12:49 配信終了)

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